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外壁タイルが剥がれる原因と対策とは?事故や費用を防ぐための定期点検ガイド

2025年10月21日

マンションやビルの外壁タイルが剥がれてしまうと、見た目の問題だけでなく、事故や法的責任といった深刻な問題につながります。特に築年数が経過した建物では、タイルの浮きや剥がれが起きやすくなります。

この記事では、外壁タイルが剥がれる主な原因から、事故リスク、定期点検の必要性、点検時期、チェックポイント、業者選びのコツ、住民や管理組合ができる対策まで詳しく解説します。

建物の管理やメンテナンスに関心がある方はぜひ最後までお読みください。

目次

外壁タイルが剥がれる原因とは?

外壁タイルが剥がれてしまうのにはいくつかの原因があります。ここでは、代表的な5つの理由を紹介します。

接着剤やモルタルの経年劣化

外壁タイルは、接着剤やモルタルで建物の壁に貼りつけられています。しかし、これらの接着材料も時間が経つと劣化します。

特に20年以上経過している建物では、モルタルが硬くなってひび割れたり、接着力が弱くなったりします。

接着力が弱まると、タイルが壁から浮いたり、最悪の場合は落下する危険があります。

この経年劣化は目に見えない部分で進行するため、定期的な点検が重要です。

施工ミスによる接着不良

建設時の施工ミスも、タイル剥がれの原因になります。たとえば、下地処理が不十分だったり、接着剤の塗布が適切でなかったりすると、時間が経つにつれてタイルが浮いてきます。

また、気泡が入ってしまった場合、そこから空気や水が入り込み、タイルを押し出してしまうこともあります。

新築なのにすぐにタイルが浮く場合は、このような施工不良が疑われます。

施工不良による剥がれは、修繕にかかる費用が大きくなることが多いため注意が必要です。

地震や交通振動によるひび割れ

地震や、近くを走る大型車両による振動も、外壁にダメージを与えます。建物に揺れが加わることで、タイルや下地に微細なひびが入ることがあります。

このようなひびは最初は小さくても、雨水が入り込むことで徐々に大きくなっていきます。

特に地震が多い地域では、タイルの状態を定期的に確認することが重要です。

タイルのひび割れや浮きは、落下につながる前に早めに見つけて対処しましょう。

気温差による建物の伸縮

建物の構造体は、気温の変化によって伸びたり縮んだりします。夏の暑い日と冬の寒い日では、壁の大きさが微妙に変わります。

この伸縮の影響で、タイルや接着剤に負担がかかり、ひび割れや浮きの原因となります。

特に、日当たりが良い南側の壁や、寒暖差の激しい地域では、この現象が起こりやすいです。

気温差による影響は避けられないため、日常点検と定期メンテナンスで早期に発見することが大切です。

雨水の侵入と凍結による膨張

外壁のタイルのすき間から雨水が侵入すると、内部に水分がたまります。その水が冬に凍って膨張すると、タイルや下地が破損することがあります。

この凍結膨張を繰り返すことで、接着力が弱まり、タイルが剥がれるリスクが高まります。

特に寒冷地では、雨水の侵入と凍結のダメージが大きく、注意が必要です。

シーリングや防水塗装などで、雨水の侵入を防ぐことが効果的な対策です。

タイルが落ちるとどうなる?事故や修繕のリスク

外壁タイルが剥がれて落ちると、事故や法的トラブルに発展することがあります。ここではそのリスクを紹介します。

通行人に当たる事故の可能性

タイルが上から落下した場合、通行人に当たってしまうことがあります。重さのあるタイルが人に当たると、大けがや最悪の場合死亡事故につながる可能性もあります。

特に、ビルやマンションのエントランス付近や歩道に面した部分は、人が多く通るため危険度が高まります。

人にケガをさせてしまうと、建物の管理者や所有者が責任を問われる可能性があります。

安全のためにも、剥がれそうなタイルは早めに補修することが重要です。

管理者に損害賠償責任が発生

もし落下したタイルで誰かがけがをした場合、建物の管理者や所有者に損害賠償責任が生じます。

民法では、建物の安全を維持する責任が管理者にあるとされているため、怠った場合は過失と見なされます。

結果として、医療費や慰謝料の支払いだけでなく、裁判になる可能性もあります。

日常的な点検やメンテナンスで、事故を未然に防ぐことが何より重要です。

建物の見た目や価値が下がる

タイルが剥がれていると、見た目が悪くなり、建物全体の印象が悪化します。

特に分譲マンションやテナントビルでは、入居者の満足度や賃貸契約にも影響が出ます。

外観の劣化は資産価値の低下にもつながるため、管理組合にとって大きな問題です。

外壁の状態を良好に保つことで、建物の評価を維持することができます。

劣化が進むと修繕費が高くなる

タイルの剥がれを放置すると、建物内部にまで劣化が進んでしまい、修繕範囲が広がります。

結果として、部分補修では済まず、外壁全体の大規模改修が必要になることもあります。

そうなると、費用は数百万円から数千万円に及ぶ場合もあります。

劣化の初期段階で発見し、早めに対処すれば、費用も安く抑えられます。

定期点検がなぜ必要なのか?プロが語る3つの理由

外壁タイルの剥がれは、見た目だけでなく安全面にも大きな影響を及ぼします。定期点検を行うことで、リスクを未然に防ぐことができます。ここではその主な理由を3つ紹介します。

タイルの浮きやひびを早く見つけられる

外壁の点検を定期的に行うことで、タイルの浮きやひび割れといった初期の異常を早く見つけることができます。

肉眼では見えにくい異常でも、専門業者の打診検査や赤外線調査によって明らかにできます。

早期発見によって、被害が広がる前に修繕できるため、安全性を確保しやすくなります。

「まだ落ちていないから大丈夫」と思わずに、定期的に状態を確認することが重要です。

修繕費を安く抑えやすい

劣化が進む前に修繕を行えば、工事の範囲が小さくて済むため、費用を抑えることができます。

例えば、タイル1〜2枚の浮きや剥がれなら数万円程度で修繕できる場合があります。

一方で、広範囲に被害が広がると足場の設置などが必要になり、数百万円単位になることもあります。

定期点検によって小さな不具合を早く発見すれば、大規模な工事を回避でき、結果的に経済的な負担が軽くなります。

法令で定期点検が求められている

建物の定期点検は、実は法律で義務付けられています。特に一定規模以上の建築物では、「定期報告制度」により、定期的な調査・報告が必要です。

この制度は、国や自治体が建物の安全を確保するために設けているもので、怠ると指導や罰則の対象になる可能性もあります。

法令を遵守するためにも、外壁の点検は計画的に実施しましょう。

マンション管理組合などは、点検スケジュールをしっかりと管理することが大切です。

点検のベストタイミングはいつ?築年数と劣化の関係

外壁タイルの点検は、建物の築年数に合わせて計画的に行うことが理想です。ここでは、点検に適した時期を紹介します。

築10年目が最初の点検の目安

一般的に、最初の外壁点検は築10年目が目安とされています。

これは、外壁タイルの接着剤やモルタルの耐用年数が10年程度で劣化し始めるためです。

点検を怠ると、劣化に気づかずにタイルの浮きや剥がれが進行する可能性があります。

築10年を過ぎたら、一度専門業者に外壁調査を依頼することをおすすめします。

15年を過ぎるとタイルの浮きが増える

築15年を過ぎると、目に見える劣化が現れやすくなります。特に、タイルの浮きやひび割れが多く見つかる時期です。

この時期には、外壁の一部補修や再塗装、防水処理などのメンテナンスが必要になることがあります。

定期点検とあわせて、必要に応じて修繕計画を立てると効果的です。

修繕履歴の記録を残しておくと、次回以降の点検や施工時に役立ちます。

地震の後は早めに確認が必要

大きな地震のあとには、外壁タイルに目に見えないひび割れや浮きが発生している可能性があります。

建物が揺れると、タイルと壁の間に隙間ができ、そこから劣化が進むリスクがあります。

見た目が変わっていなくても、打診検査などで内部の異常を確認することが重要です。

地震の後は、速やかに外壁調査を実施して安全を確認しましょう。

12〜15年ごとの外壁改修にあわせて実施

多くの建物では、12〜15年ごとに外壁の大規模修繕工事を行います。このタイミングでタイルの点検を一緒に行うのが効果的です。

足場を組むタイミングを合わせれば、調査・工事のコストを抑えることができます。

建物のライフサイクルに合わせた点検と修繕を行うことで、長期的に安全とコストのバランスを保つことができます。

点検と修繕のスケジュールをセットで管理しておきましょう。

点検ではどこを見てもらう?チェックポイントまとめ

外壁タイルの点検では、以下のようなポイントを重点的にチェックします。見逃すと重大なトラブルにつながるため、しっかり確認してもらいましょう。

タイルの浮きやひび、欠け

最も基本的なチェックポイントは、タイルそのものの状態です。

浮きやひび、欠けている部分がないかを打診棒や赤外線カメラで確認します。

わずかな異常でも早めに見つけることが、事故や修繕費の抑制につながります。

タイルの色の変化や、浮いて見える場所にも注意が必要です。

目地やシーリングの劣化

タイルのすき間を埋める目地や、サッシまわりのシーリングも、劣化のサインを見逃せません。

ひび割れや剥がれ、カビなどがある場合は、雨水が侵入しやすくなっています。

これがタイルや下地に悪影響を与え、剥がれの原因になります。

定期的に補修を行い、防水性を保つことが重要です。

打診棒での空洞検査

タイルの裏側に空洞ができているかを確認するため、打診棒で「コツコツ」と叩いて音を聞き分けます。

浮いている部分は、叩いたときに「ポコポコ」と軽い音がするのが特徴です。

目に見えない異常も打診検査なら発見できるため、非常に効果的です。

特に高所や日が当たりにくい場所は劣化しやすいため、丁寧に調べてもらいましょう。

外壁全体の防水状態

外壁全体の防水機能も重要なチェックポイントです。タイルの表面に撥水性があるかどうか、防水塗装が機能しているかを確認します。

撥水性が落ちると、雨水が浸透しやすくなり、内部の劣化を早めます。

防水層が傷んでいる場合は、再塗装や補修が必要です。

タイルの美観だけでなく、防水性能の維持も建物を守るカギです。

屋上やバルコニーなどの外部設備

外壁以外にも、屋上やバルコニーといった外部設備も点検対象です。

排水口のつまり、手すりのぐらつき、防水シートの破れなども見逃せません。

これらの設備も、建物の安全性に直結する部分です。

総合的な点検を行うことで、建物全体の安心感が高まります。

業者選びで失敗しない!信頼できる専門会社の見つけ方

外壁タイルの点検や修繕は、専門的な技術が求められるため、信頼できる業者に依頼することが非常に重要です。ここでは、業者選びで確認すべきポイントを紹介します。

建築物の定期報告制度に対応している

まず確認すべきなのは、その業者が「定期報告制度」に対応しているかどうかです。

この制度に準拠した点検や報告ができる業者であれば、法的にも適切な方法で点検・修繕が行えるということになります。

また、自治体への報告もスムーズに行えるため、手続きの面でも安心です。

業者のWebサイトや問い合わせ時に、制度対応の有無を確認しておくと良いでしょう。

赤外線調査や打診検査ができる技術がある

タイルの浮きや剥がれの原因を正確に把握するには、赤外線調査や打診検査などの専門技術が必要です。

これらの調査に対応している業者であれば、目に見えない劣化も的確に発見することができます

点検報告書の内容も詳細になり、後の修繕計画にも役立ちます。

現場調査の方法について、業者に事前に質問しておくことをおすすめします。

実績がある業者を選ぶ

点検や修繕の実績が豊富な業者は、様々な建物タイプに対応できるノウハウを持っています。

実績のある業者は、施工の質だけでなく、報告書や対応の丁寧さにも定評があります。

業者選びの際は、実績件数やこれまでの工事事例を確認するようにしましょう。

調査から報告書まで一括対応している

外壁点検の業者を選ぶ際には、「調査 → 報告書作成 → 修繕提案」までを一貫して行ってくれるかも重要なポイントです。

複数の業者にまたがると、やり取りが煩雑になり、費用も割高になる傾向があります。

一括対応の業者であれば、スケジュール管理や責任の所在が明確になるため安心です。

問い合わせ時に「調査から報告書作成まで一社で完結できますか?」と確認してみましょう。

建築士や施工管理技士が在籍している

国家資格を持つ建築士や施工管理技士が在籍しているかどうかも、業者の信頼性をはかるひとつの目安です。

有資格者が点検や調査に関わっていれば、診断の精度や修繕のアドバイスにも安心感があります。

資格者が対応することで、法令順守や技術力の高さが担保されます。

業者のスタッフ紹介ページやパンフレットで確認するようにしましょう。

住民や管理組合ができる日頃の対策とは?

外壁タイルの点検や修繕は業者任せになりがちですが、住民や管理組合が日常的にできる対策も多くあります。小さな行動が大きな事故の防止につながります。

外壁にひびや浮きがないか日常点検する

住民自身が普段から外壁を注意して見ることで、異常の早期発見につながります。

たとえば、タイルにひびが入っていたり、色が変わっていたり、少し浮いているように見える部分があれば注意が必要です。

異常に気づいたら、速やかに管理組合や管理会社に報告しましょう。

小さな変化にも敏感になっておくことが、事故防止の第一歩です。

異常を見つけたら写真を撮って報告する

タイルの浮きや剥がれを見つけた場合、スマートフォンなどで写真を撮って記録しておくと便利です。

写真があれば、業者や管理会社に正確に状況を伝えることができます。

口頭だけでは伝わりにくい微妙な状態も、写真であれば視覚的に理解できます。

日常的な「記録」と「報告」を習慣にしておくと安心です。

点検や修繕の予定を管理組合で共有する

管理組合の定例会議などで、点検や修繕の予定を話し合い、住民全体に周知しておくことが大切です。

予定を事前に共有しておくことで、住民が協力しやすくなり、点検当日のトラブルも減らせます。

また、計画的な予算管理にも役立ちます。

情報共有の積み重ねが、スムーズなメンテナンスにつながります。

シーリングや防水塗装の定期メンテナンスを行う

タイルだけでなく、シーリング材や防水塗装の定期メンテナンスも忘れてはいけません。

これらは、雨水の侵入を防ぎ、建物全体の寿命を延ばす大切な役割を持っています。

シーリングの寿命はおよそ10年とされており、劣化のサインを見逃さないことが重要です。

定期的にプロにチェックしてもらうようにしましょう。

信頼できる業者と点検契約を結んでおく

事前に信頼できる業者と点検契約を結んでおくことで、緊急時にも迅速に対応してもらえます。

定期契約をしておけば、費用の見通しも立てやすく、管理組合の予算計画にも役立ちます。

長期的な視点で建物を守るためには、信頼関係のある業者との継続的なパートナーシップが大切です。

相見積もりなどを活用して、適切な業者を選びましょう。

まとめ:外壁タイルの剥がれを防ぐには定期点検が不可欠

外壁タイルの剥がれは、経年劣化・施工ミス・地震や気温差・雨水の侵入など、さまざまな原因で発生します。

放置すると通行人への事故リスクや損害賠償、建物の資産価値低下、大規模な修繕費などにつながります。

そのため、築10年を過ぎたら定期点検を実施し、必要に応じて修繕を行うことがとても重要です。

業者に任せるだけでなく、住民や管理組合自身でも日常的なチェックや情報共有を行いましょう。

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